もしも


もしも




「あの、何でしょうか」
眉根を寄せ、チスイスイは言う。
向かい側には彼が敬愛する宇治金TOKIO。





彼らの居座る小さな茶屋の外では、薄雲こそあるが、晴天のように青い空が広がっていた。
白い雪は溶けてしまい、地面を濡らし輝いていた。





チスイスイは目の前にある水を飲もうともしない。
宇治金時が、何も喋らないからだった。














「なぁ、休んでいかへん?」














皇帝戦を終え、「ハレクラニ」という「金づる」を失った宇治金時。
彼は何を語るわけでもなく、何をする訳でもなく、傍にいる。
無論、それが嫌だとかそういうコトを、言いたい訳じゃない。
むしろ一緒にいる、その事実が妙に嬉しい。
不可解な言動も、今ではすっかり慣れてしまったし。



それにどうやら、自分はこの人が好きらしい。



だから、その言葉を聴いた時…


「え?ああ、はい!」
少々驚いたが直ぐに返事をした。
少しでも一緒にいたいと思ったから。

「じゃ、あの店でええか…」
小さな茶屋の前で足を止めて呟いた。
「来ぃな。ワイのおごりやさかいに」
宇治金時は一歩離れて歩くチスイスイに声をかけて、店の中へ入った。










それから、軽く一時間は経っただろうか。
自分の目の前に座っている「彼」は、話しかけても何も応えてはくれないし。
「あの…」

「なあ、チスイスイはんはワイがもし、皇帝になれとったら、どないした?」
翳った声で問いかける宇治金時。
チスイスイは、目を丸くした。
「どう…って……」
宇治金時は手元を見ている。
本当は、手元ではなく違うものを見ているのかもしれなかったが、チスイスイにそれが解る訳もない。
「オレなんかが…って思われるかもしれませんが……」










彼らの居座る茶屋の外では、青い空が広がっていたし
鳥は気持ちよさそうに、羽を休めていた。
地面を濡らす水滴も、太陽の光に連れて行かれた。








向かいに座る彼が、小さく微笑んだように見えた。












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ボニメのチスイスイはTOKIO様大好きですよね。
原作以上に大好きですよね。