人であれ

人であれ



さあ問題だ。
これは一筋縄ではいかないよ。
何故って、そんな事。
君に言う必要があるのかい?



風がやむ。
別に変わったことは無い。
天を仰げば薄雲がかかった空が見えた。
地を下せば青々と茂る雑草の上に横たわって、
気持ち良さそうに寝ている女の姿が見えた。
「くそが…!」
ランバダは一人ごちた。
愚痴を言う相手もいない。
いるのは女が一人。
無防備な寝顔を晒しているだけ。



問題に入ろうか。
君が怒って帰ってしまう前に。



とりあえず、安全な場所に連れて行ったほうが無難だろう。
例え、この女が寝ていても力を発揮できるとしても。
見晴らしのよい木の上から、降り。
女を担ぐ。
手を触れた時、小さく唸ったので、ランバダは

起してしまったか

と小さく焦った。
別に悪い事をしている訳ではないのだが。
普段せぬ事なので、小さな事で動揺してしまう。
「気持ち良さそうに寝やがって」
肩に担いだ女の顔を横目で見る。
よだれさえ流して。酷くだらしない。



一筋縄ではいかないよ。
特に、君の置かれた状況だったらね。
本当に。その子。



とりあえず、近くにあった小屋を借り、即席のベッドを作ってやる。
寝心地が悪いのか、時折唸り声を出した。



本当にその子は人なの?



ランバダは手持ちぶたさになり、女を観察し始めた。
「これが、布団か」
大抵の人間は信じない。
布団が人の姿をしているだなんて。
酷く非常識だ。
否、それはランバダにも当てはまるだろう。
彼は、ポリゴンを自由自在に操るのだから。
「いや、人か?」
ランバダは首を傾げた。
布団の間に生まれたのなら、布団なのだろう。
だが。
実際コイツは人の姿をしていて、人のように生活している。
「どちらでもないのか?」

ヤバイ、頭が混乱してきた。

何せ、食べ物が喋る、神がいる、理屈では答えられない世界。
その中で生活しているのだ。

「ん…」
女が身を捩った。
恐らくそろそろ起きるのだろう。
ランバダは音を立てぬようにその場を去ろうとした。
「ランバダさま…?」
眠そうな声に掴まった。
ランバダはため息をついた。
「何だ」
「何処ですか…ここ…」
ランバダは肩を竦めて、窓を指差す。
先ほどまで自分たちがいた場所が見えていた。

「レム…。ひとついいか?」
ランバダが真顔で言う。
レムは思わず上ずった声で問いを了承した。
「お前、何だ?」
質問になっていないシツモンだった。
レムは逡巡し、のろのろと答えを導き出した。
「布団…ですよ?」
不安げなレムの表情。
ランバダはレムの頭を軽く叩いた。
「なら、いい」
レムは何がなにやら解らず、ただ疑問符を浮かべるだけだった。



これは一筋縄ではいかないよ。
これは言葉遊びだからね。


それは人、でも人ではない。
それは、何?

















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後記

ランレム…かなぁ。ちゃんとそれっぽいですか?不安。
言葉遊びも真剣に考えるバダ様は萌だ。

という主張。