友達のような君。 仲間ってなんだっけ? 友達ってなんだっけ? 恋人ってなんだっけ? 「あー!ちょっとタイム!」 「待った無しだぜ」 宿に備え付けられていた囲碁。 宿主の趣味で置かれていると言うソレは。 宿の見た目の割にはキレイで。 「くっそー。」 ヘッポコ丸は勝利を確信して笑みを浮かべていた。 大体、囲碁のルールを何で少年が知っているのか。 後に聞いた話によると。 やはり、囲碁を使ったバトルがあるらしい。 だからだと。 「降参する?」 「しねー!絶対しねー!」 鼻息が荒い。 目がぎらついている。 「ハイハイ。」 ヘッポコ丸は肩をすくめた。 「へっくーん。ご飯食べよ?」 ドアが開いて、桃色の髪が見えた。 「うん。今行く。」 ヘッポコ丸はにこにこと笑顔で返事を返した。 「そっか。じゃ、先に行ってるね」 「さて。天の助。飯食いに行こうぜ」 「う゛−。仕方ねェなー。行くかー」 そっと差し出された手。 それを待ち続けて、何年経ったのだろう。 「ヘッポコ丸は、やっぱりビュティが好きなのか?」 「ぶっ」 パチン。 「どうなんだよ」 天の助がにやにやしながら聞いてくる。 ご飯を食べながら考えていたのか。 碁石はスムーズに動いている。 「そんなコ…ってちょっ!天の助タイムタイム!」 「へへん。待ったはなーし♪」 話を聞いてくれる。 話を聞いてあげられる。 素晴らしい世界じゃないか。 その後の勝負は、天の助の圧勝だった。 窓を開ける。 星が見える。 明日はきっと晴れだろう。 「天の助寝るぞ?」 「うん」 畳の上に敷かれた二組の布団。 二つの布団はぴったりと寄り添ってて。 「ふふん」 機嫌よく布団の中にダイブする。 「おいっ。天の助狭いだろ!」 怒鳴られながらも、身を寄せた。 ヘッポコ丸が小さくため息をつくのが聞こえた。 人の温度を感じる。 「おやすみ」 「うん。いい夢見ろよ?」 唯一オレの存在を認めてくれる人。 ************************************* 後記 屁天はさ。友情なんだよ。愛じゃないんだよ。友情なんだ…! 宿に碁石。は実際にありました。某囲碁漫画の影響だろうか…。