空に向かって叫んで見る。



空に向かって叫んで見る。



夏。
暑い日差し。
厚い雲。
熱い風。
そして。


「んだよ、またか」
不満そうな声を出来るなら聞きたくは無かった。
「すみません。」
平謝りだ、そう解りながらも謝らずにはいられない。
これもコノ人の力だろうか。
「ちぇっ。お前はホンットーにダメだな」
「すみません」
「ま、いいや。またな」
「…はい」
淡白な別れの挨拶。
今度は何時会えるのか、解らないと言うのに。
何時もの事とはいえ、つらい。


「えー。いっちゃうのー」
「ヤダーオレ破天荒と一緒にまた寝たいー」
「遊びたいー」

その代わり、コパッチはぐずぐずと駄々をこねる。
破天荒は苦笑して、近くにいたコパッチの頭を撫でる。
「また、な」



熱い日差し。
「おやびーん!」

届くだろうか。
「おーやーびーん!」

誰もいない原っぱ。
声は遠くまで澄んで。
遠い、遠い太陽に届くだろうか。

「おーやーびぃーん」
届け、届け、届け。


「空に向かって叫べばいい」
「空…ですか?」
「空はすげぇんだぞ?」
「はぁ」
「広いし。」
「ハイ。」
「広いしな!」
「そうですね!」
「だから、空に向かって叫べば大抵は巧くいく。」
「そうなんですか!?」
「もちろんだ!オレは誰だ!?」
「おやびんです!」



きっと、莫迦にする。
未だそんな事を覚えていたのか、と。
それでも。

「おやびーん!」

心から、願っている。





















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後記

破パチ破。と言う事で一つ。

テンコを破天荒と呼ぶ事が無いので、タイプミス乱打しまくった。
どうでもいいですが、季節違うよね。(ただ今春真っ盛り)

テンコのおやびんへの執着心は目を見張るものがあるよ。うん。