やがては、その道端に転がっているそのネコのように。
頼るものも無くなって、希望すらも打ち砕かれて。
ただの肉の塊以下と成り果てるだけだ。



「あ。コネコ」
天の助はOVER城にいた。
OVERにつれて来られて、
今日で何日目なのかはもう、覚えていない。
「珍しいなぁ♪」
変な生き物(自分含む)ばかり見てきたので、返ってコネコのような
いて当たり前の動物がすごく珍しく見えた。

天の助はコネコに近寄った。
コネコは逃げる訳でもなく、じっとそこにいる。
「何してんだ?」
「うぁっ」
吃驚して振り返る。
「OVER…驚かすなよなァ!?」
「うるせぇ。何してやがんだ?」
天の助の抗議など聞く耳も持たず、OVERは問い直した。
天の助は不機嫌そうな顔をした後、コネコを指差した。
「アッチにコネコがいるんだ。」


「ふ〜ん。で?」
コネコに近づいて解った事。
コネコは内臓をぶちまけて、息絶えていた。
暗がりに転がったコネコ。
遠くからでは気が付かなかった事。
OVERはコネコを見ながら言う。
「死んでんじゃねぇか」

「ああ!テメッ蹴るなよ、可哀想じゃんか!」
天の助が叫ぶ。
そして天の助はコネコをそっと抱かかえた。
「おい、天の助…?」
天の助の行動が理解できず、OVERは戸惑いの声をあげた。
「墓作って遣らないと」
「おいおい…」

正気かよ。

自分が飼っていたネコでも何でもないだろうに。

何か得するわけでも無いだろうに。

OVERはため息をついた。
「優しすぎやしねぇか?」
「OVERが冷たいんじゃないか?」
OVERの言葉にぎろり、と睨みながら返す天の助。

「身体が温かいヤツって心は冷たいって言うしな」
天の助がそう言った。
「確かにな、その理屈で言ったらお前はとても心が温かいってコトか」
皮肉を含めてOVERが言う。
天の助は縦に頷こうとして、止めた。
「ははっ…。オレは違うよ。」

血に染まった両手。
希望を砕いた拳。
大切なモノを傷つけた腕。

「オレは冷たいヤローだよー。どーせ。身も心も極寒だよ」
呆れるような拗ねるような声。
OVERは苦笑した。

「ま、ドッチでもイイけどよ。」




















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後記

OV天に見えたらいいなあ〜。(もう希望系
体温・心・価値観色々な面でコイツラは対照的だと思う。
天の助は優しいとはいえ、元毛狩り隊なので、冷たい面もあったんだろうなぁとか。
そんなコトを考えると今日も眠れません。ゴキュ…