掌握 どうしようもないくらい依存させて。 どうしようもないくらい感じさせて。 どうしようもないくらい愛されて。 そして、あなたはどうしようもないくらい自分を求めるんだ。 「お疲れ様です。」 笑って迎える。 いつもソレを見て、ほっとしたような表情を浮かべるんだ。 可愛いよね。本当に。壊したいくらい。 「チスイスイはん、いつも悪いなぁ。」 「いえ、オレが好きでやってる事ですから。」 そういうと、決まって笑みを浮かべる。 信じきってるって顔。 「そうだ、お腹空いてませんか?奢りますよ?」 「ほんまに!?悪いなぁチスイスイはん。」 浮かれてスキップをする足。 小さな小さな体。 子供と大人ほどに違う身長の差。 「宇治金TOKIO様。」 手を指し伸ばす。 何も言わなくても通じる。 『手を握る』という行為。 小さな、小さな手を握る。掴む。 宇治金TOKIOが時々子供がするように、チスイスイの腕にぶら下がる。 小さな、小さな体。下がる。吊るす。 「チスイスイはんが奢ってくれはるの、久しぶりや」 「そうですか?」 「せや。前は…んー、確か1週間くらい前やったかな」 「久しぶりなんですか?」 「どうやろ。」 奪いつくして。貪らせて。全てを。 チスイスイは宇治金TOKIOの手を放した。 手を離されると、宇治金TOKIOは走り出した。 「早く!」 子供のようにはしゃいぐ。叫んで手を振ってチスイスイを呼ぶ。 時々、自分はこの人より地位が低いと言う事を忘れる。 全ては、この人が悪いのだが。 子供のような振る舞いは、自分が何者であるかを忘れさせる。 それが、意図的ではないにしろ。 結果がそうなら同じ事だ。 くるくると変わる表情を見る。 嗚呼、このお顔を崩して、苦痛に歪めて、吐かせてやりたい。 『自分だけだ』と。そう吐かせたい。 泣いて詫びて、縋って、吐かせたい。『他にはなにもいらないから』と。 考えただけで、ゾクゾク、する。 「TOKIO様?」 「ふぁひ?」 宇治金時は口いっぱいに食べ物を詰め込んで、チスイスイを見た。 「オレは、貴方の何ですか?」 時が、止まった。 「チスイスイはんは…」 そこまで言って、宇治金時は顔を真っ赤に染めた。 低い、含み笑いを漏らすと、宇治金時は体を微かに震わせた。 「オレは、貴方の何ですか?」 チスイスイは宇治金時の些細な変化に気が付かなかったかのように、 再度宇治金時に問いかけた。 「ワイの…」 宇治金時はまた、そこで止めた。 焦らすというよりも、躊躇っている。恥らんでいる。 「ワイの…!」 続きを早く言わない宇治金時に業を煮やす。 宇治金TOKIOの腕を掴んだ。 テーブルを超え、こちらへ引き寄せる。 「貴方の、何?」 顔を近づけてみる。 更に顔を赤くする宇治金時。 笑いが毀れるのをこらえた。 「……」 黙り込んだ宇治金時の顔を持ち上げる。 あくまでその顔を晒させた。 「早く言って下さい。オレは気が長い方じゃない。 それとも。」 「また、して欲しいんですか? 自分よりも低い地位のモノに抱かれたと為ると、一大事ですよ? 宇治金TOKIO様?」 耳元(と思われる所)で、囁きかける。 宇治金TOKIOは、みるみる顔を蒼くしていった。 ソレと同時に、密着させた身体が火照るのを感じた。 嗚呼。 壊して、奪って、堕として。 誰も要らないと、 自分以外は不要だと。 そう吐かせて。 何者も、この目に映らないように。 この崩れる様を見せないように。 どうしようもなく、オレはこの人を求めている。 ************************************* 後記 笑う所です(断言 初☆チスTOKI。 書いてみて、思ったのは。 自分はチスイスイをどういうキャラだと思っていたのか。 もっと悪役っぽい事とか言わせたりさせたりしたかった…! 次は是非!(書く気かよ。